望郷の念とともに帰ってきた田中将大投手

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小さな頃からプロ野球の熱烈なファンだった。セ・パ両リーグのプロ野球選手名鑑を穴があくほど兄弟で読み、ゲーム「実況パワフルプロ野球」は開幕に合わせてペナントモードに突入。弟にいたってはリアルさを追求しようと、あえて自分でプレイせず、コンピューター対戦で両者を競わせる別のペナントモードも作成。実際の勝敗やスラッガーのホームラン数とを見比べるのもまた一興だった。兄弟でそれぞれセパ両リーグの好きなチームを等分に分けたこともあった。

兄・巨人/広島/横浜/ホークス/西武/バファローズ

弟・阪神/ヤクルト/中日/日本ハム/オリックス/ロッテ

こんな感じだったと思う(なお、後日、記憶力がすこぶる良い弟に訊いてしっかりと確認済み)。当時、万年最下位と言われた阪神やロッテを弟に押し付けていたことに少し反省。個人的にはあの時代こそがプロ野球の黄金期だったと思う。王貞治長嶋茂雄といった往年の名選手が監督やコーチとして陣頭指揮を執り、イチロー松井秀喜らのスター選手たちがしのぎを削り、野茂英雄らが大リーグで活躍するニュースに日本の野球ここにあり!と小躍りしたものだ。

それでも、兄弟で夢中になっていた頃はまだ楽天イーグルスは球団として存在していなかった。

特報だ。米大リーグで活躍した田中将大投手が八年ぶりに古巣・楽天イーグルスに復帰する。東日本大震災福島原発事故から十年の節目となる今季、東北にとっては盆と正月が一緒に来たような喜ばしいニュース。

新型コロナウイルスの影響で大幅な収入減となっていた大リーグの各球団。資金難から軒並み緊縮財政を余儀なくされた。結果、その去就 (きょしゅう) が注目された巨人・菅野智之投手の大リーグ入りも見送りとなり、移籍市場はかつてなく冷え込んだ。折しも、田中将大投手もまた、ヤンキースからフリーエージェントになっていたこともあり、所属チームが未定のままだったが、石井一久監督の熱烈なラブコールもあり入団が決まったようだ。

名門ヤンキースでメジャーデビューから六年連続の二桁勝利をかざり、通算78勝をあげた怪腕。伝家の宝刀であるスプリットフィンガー・ファストボール (SFF) でまた三振の山を築き上げてほしい。

楽天イーグルスの黎明期 (れいめいき) を支えた野村克也監督が昨年他界した。野村克也監督の元で野球人生をスタートさせた石井一久監督と田中将大投手。帰ってきた日本の球界で、辣腕 (らつわん) をふるう姿を泉下 (せんか) で見てもらえるような、そんな活躍をしてほしい。「マー君、神の子、不思議な子」。ボヤキのあの声で聞きたい。(了)

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